1.特許取得までの流れ
特許願を出願して、受理されれば自動的に審査が始まる訳ではありません。特許願を出願したあとに、審査請求をして初めて、特許性の有無を特許庁が審査してくれます。
審査請求後、特許の内容について特許庁と書類のやり取りをして、特許性があると判断されれば、ここではじめて特許権を得ることができます。
特許権は最長25年の期間があり、特許権を発生させようとする期間分の特許料(登録料?)を払い込んだ期間のみ、特許権が発生することになります。
特許権というと、ずっとその権利を持続できそうな感じもしますが、実は期限が定められており、それ以降はその特許技術については誰でも無料で好きなように使えるようになります。
審査請求等の詳しい特許権取得の流れは、特許庁HPの参照もしくは、お近くの弁理士、特許事務所等へ問い合わせて頂ければと思います。
特許権取得の流れ
2.特許出願のみで権利化しない理由
J-PlatPatで様々な特許を閲覧していると、特許願だけ出願して、審査請求されていない特許願がたくさんあることに気が付きます。
なぜ、審査請求しないのでしょうか?それは、次の理由が考えられると思います。
一つ目は、特許権化するぞ!という他社への牽制や、他社がその特許を出願できないようにしている場合。
先に出願しておけば、同一の特許内容をあとから他社が出願した場合でも、先願している自社の出願が認められる為、商品を作る際に特許権を侵害しなくて済む。
(出願が遅くなって、知らぬ間に他社が先に出願していた場合、特許権を侵害してしまうことになる。)
またその逆に、他社に対して出願した特許内容について、ある程度の抑止力を持つ事ができる。
二つ目は、特許権化するか議論中であるが、先行して出願をしている場合。(先願が重要なので)
三つ目は、単純に、出願してみたが、特許権化する費用対効果があまり無い場合。裏付けに乏しく、特許権化できそうにない場合。
いづれにせよ、特許願の出願は先願主義なので、ある程度特許調査して、新規性があると判断できた際には、なるべく早く特許願を出願をしておくと、不要な特許侵害を未然に防ぐ事ができ、他社に対しても優位な立場に立つことができるのではないかと思います。
また、特許を取得するには裏付けが足らないかもしれないけど、実用新案としてならば成立しそうだという場合には、既に特許出願した案件を実用新案に切り替えて、出願することも可能なので、そういった意味からもなるべく早く出願しておく事が重要に思います。
(特許、実用新案、意匠は、相互に出願後の変更出願が可能。特許からの変更出願が一番有利。期間の制約あり。要確認のこと。)
3.個人的に特許出願する場合
個人情報、特に住所の情報が公開されてしまうので、会社で特許出願できるのであれば、会社で出願して、会社の住所を使わせてもらうのがベストだと思うのですが、どうしても個人で出願したい場合には、よく考えてから出願して下さい。
また、個人で出願したとしても、一年半後の公開までに、特許権を受ける権利の名義を変更(出願人名義変更)すれば、個人情報(本人の住所のみ。名前は必ず公開される。)は公開されずに済みます。
(この時、発明した場所が本人の住所でないことが条件になりますが。)
ですので、最初は個人で出願しておいて、あとで使用される会社の名義に変更する方法も良いのではないかと思います。
3-1.出願、審査請求時の費用について
※2016年4月1日から一部料金が改定になりました!!黒木さんご指摘ありがとうございます^^
・出願14000円
(書面での出願の際には、電子化手数料が別途必要)
・出願人名義変更届4200円
(書面での出願の際には、電子化手数料が別途必要。電子出願の際には、手続補足書、譲渡証明書を郵送しなければならないので、送料が必要)
・審査請求 10万円以上(118,000円+請求項数×4,000円)
※電子化手数料は、
1件につき1,200円+書面1枚につき700円を加えた額です。
出願した書類が3枚ある場合は、
1,200円+(700円×3)=3,300円
3-2.特許料について
※こちらも2016年4月1日から料金が改定になっています。
・第1年から第3年までの期間⇒
毎年2,100円に1請求項につき200円を加えた額
・第4年から第6年までの期間⇒
毎年6,400円に1請求項につき500円を加えた額
・第7年から第9年までの期間⇒
毎年19,300円に1請求項につき1,500円を加えた額
・第10年から第25年までの期間⇒
毎年55,400円に1請求項につき4,300円を加えた額
個人で出願して、審査請求して、特許料を払っていくのは余程の経済的余裕がないと難しいですよね。。。
でも、所得が少ない世帯には、審査請求や特許料の減免もあるので、実際に特許権を取得していきたい方は、特許庁のHPの減免についてのページを参考にして下さい。
減免について
【おわりに】
この文章は、自分がこれまで調べた範囲の内容でまとめてありますので、抜けや誤り、ニュアンスの違い等があると思います。適宜、他の文献を参考にされて、補完・訂正して読んで頂ければと思います。この文章を参考にして行動される際には、自己の責任で行動して頂きたいと思います。この文章の誤りが原因で不利益を被られた場合でも、当サイトは責任を負いませんので、あらかじめご了承の上、閲覧下さい。
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